徹底分析シリーズ 日帰り手術の麻酔
小児の日帰り精巣固定術の流れ—早期回復のために質の高い,快適性を重視した麻酔を行う
上嶋 江利
1
,
香川 哲郎
1
Eri UESHIMA
1
,
Tetsuro KAGAWA
1
1兵庫県立こども病院 麻酔科
pp.346-350
発行日 2023年3月1日
Published Date 2023/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101202493
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1歳4か月の男児,体重11kg。左停留精巣を指摘され,精巣固定術(鼠径部および陰囊切開)を行うこととなった。特記すべき合併症はない。保護者は日帰り手術を希望しており,病院から車で1時間の距離に居住している。
…
小児の日帰り手術では,まず適切な症例の選択と保護者の理解が重要で,さらに早期回復には質の高い麻酔,特に麻酔の快適性に関わる疼痛,術後悪心・嘔吐postoperative nausea and vomiting(PONV),覚醒時興奮,不安などの軽減を重視した麻酔を行う。プロポフォール,レミフェンタニル,スガマデクス,神経ブロックなどの活用により,こうした麻酔は達成が容易となった。兵庫県立こども病院(以下,当院)では1970年代から小児の日帰り手術を開始し,現在年間およそ800件を行っている。
本稿では当院の日帰り手術の流れについて解説する。
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