VOL.30に寄せて
続 こうしてLiSAは生まれた!
稲田 英一
1,2
Eiichi INADA
1,2
1地方独立行政法人東京都立病院機構
2東京都立東部地域病院
pp.137-141
発行日 2023年2月1日
Published Date 2023/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101202444
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
「黙れ,若造!」:逆風の中で
LiSAの誕生が決して皆に歓迎されていたわけではなかった。大学医局の先輩から「新しい雑誌を作るんだって。大変だろうね」と言われ,「もう,噂を聞いていらっしゃるんですか?」と聞くと,「いろいろとね」と言う。「悪い噂ですか?」と尋ねると,「そうだけど,頑張ってくださいね」と言われた。すでに,東京大学麻酔科教授を退官していた父からは,「余計な事ばかりしていると,将来がないぞ!」とも言われた。また,ある人からの「先生は優秀な人たちを(編集委員として)巻き込んだけれど,彼らの将来に責任をもてますか」という言葉には,一番心を痛めた。新雑誌にエネルギーを使って,学問的な業績も上げられなかったら,前途洋々の彼らの未来をつぶすことになるという忠告である。そのとき,「どんなことがあっても,自分の道を切り開いていける人たちを選んだつもりです」と答えたが,私の考えが正しかったことは,その後の編集委員たちの各方面での活躍が証明している。
しかし,医学部卒後10年余りの若者が集まって雑誌を創刊するというのだ。“生意気”と思われるのも当然である。「既存の雑誌を超える」といった発言が,歴史ある麻酔科学の雑誌に携わってきた人たちにとって,腹立たしいのも頷ける。「先達への尊敬や感謝の念がない」と責められもした。某大学のT教授からは「黙れ,若造!」と言われた。
Copyright © 2023, MEDICAL SCIENCES INTERNATIONAL, LTD. All rights reserved.