徹底分析シリーズ この症例 全身麻酔は可能ですか?—麻酔のリスクをどう評価するか
呼吸器系のリスクをどう評価するか—患者の状態,手術内容,周術期管理体制,患者・家族の意向から総合的に判断
高内 裕司
1
Yuji TAKAUCHI
1
1大阪はびきの医療センター 麻酔科
pp.38-44
発行日 2023年1月1日
Published Date 2023/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101202424
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麻酔科の術前評価として,全身麻酔の可否についての質問を外科系診療科から受けることがしばしばある。併存疾患によっては,ときとしてこれらの質問は呼吸器内科や循環器内科に対して行われるが,その回答は手術の内容や麻酔・周術期管理が生体に及ぼす影響などを十分加味することなくなされていることが多い。一般に外科手術におけるリスク評価の基準はさまざまに提唱されてきた1〜4)が,呼吸器系のリスクがある患者や低肺機能患者の耐術限界についての明確な基準を示すことは困難である。どのような患者に(呼吸機能・心機能・運動耐容能,呼吸器感染,全身併存症),どのような手術をするか〔開胸術(分離肺換気),肺切除術,心臓血管外科手術,開腹術,出血量(輸血・輸液量),手術時間〕を個別に検討する必要がある。
本稿では,さまざまな要因を検討しながら,自験例を示して,呼吸器系のリスクと全身麻酔の可否を論じたい。またリスクを低減する対策についても言及する。
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