my style シミュレーション
臨床医のための解剖学講習とTEEシミュレータによるトレーニング—安全な心臓血管麻酔に向けて
濵井 康貴
1
,
土屋 智徳
2
Yasutaka HAMAI
1
,
Tomonori TSUCHIYA
2
1京都大学大学院医学研究科 社会健康医学系専攻 予防医療学分野
2横浜市立大学附属病院 麻酔科
pp.588-590
発行日 2022年6月1日
Published Date 2022/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101202272
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日本における心臓血管外科手術は増加の一途である。特に経カテーテル的大動脈弁植え込み術(TAVI)の増加は目覚ましく,これらに伴い,経食道心エコー(TEE)での評価を麻酔科医が行う機会は増えている。
心臓血管麻酔中にまず見るべきものは術野とモニターであり,TEEではない。しかし,最近は心臓血管麻酔に非常に強い関心をもって入局する医師が増えており,早くからTEEを学ぼうとしている者も多い。横浜市立大学麻酔科学教室でも,心臓血管麻酔をサブスペシャリティにするかどうかにかかわらず,医師3〜4年目でJB-POT認定試験の合格を目指す者が複数名現れるようになった。
TEEは比較的安全に行える検査と言われているが,心臓血管手術中のTEEによる合併症の発生率は1.4%との報告1)がある。大半は咽頭からの出血など軽症であるが1万例中2例の確率で死亡に至ったとの報告もある2)。
経胸壁心エコー(TTE)はベッドサイドで気軽に行うことができるが,TEEはそうはいかない。横浜市立大学麻酔科学教室は毎年20人近くの入局者がおり,後期研修医一人あたりの心臓血管麻酔経験症例数は限られる。希望者は国立循環器病研究センターなどの心臓血管専門施設で研修を受けられるが,他のサブスペシャリティに進む医師に対してはシミュレーション教育を併せて行い,経験値を補う必要がある。
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