連載 研修医・初心者のための〜Dr.DのおもしろTEE講座 第21回
心腔内血栓じゃない,心臓腫瘍でもない!?TEEでnormal variantを指摘できるようになろう!
土井 健司
1
1東京女子医科大学 麻酔科学教室
pp.530-533
発行日 2022年6月1日
Published Date 2022/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101202259
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みなさん,こんにちは。TEEしてますか。今回はnormal variantの話です。
normal variantとは,異型正常構造物とか正常範囲内変異と和訳されることがあるように,病的意義の少ない構造物のことです。normal variantは,腫瘍,疣贅,血栓などの心臓腫瘤やアーチファクトと誤診しやすい構造物です。normal variantを異常と診断してしまうと,必要のない外科手技が行われてしまい,合併症を引き起こす可能性もあるので,TEEを使用する麻酔科医は知っておくべき所見の一つです。normal variantとそのほかの心臓内腫瘤をTEEで鑑別するには,ある程度画像を見慣れる必要があります。というのも,normal variantは心臓の発生の過程で生じる構造も多く,解剖学的に特定の位置で観察されるのに対して,そのほかの心臓腫瘤は,本来はないはずの構造が観察されることが疑うきっかけになるからです。TEE画像に慣れることで,比較的容易に診断することができるので,まずはさまざまなnormal variantを見ていきましょう。
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