症例カンファレンス
自閉スペクトラム症患者の巨大甲状腺腫瘍
柿沼 孝泰
1
,
菊知 充
2
,
伊藤 秀和
3
,
櫻井 由佳
4
,
讃岐 美智義
4
,
山﨑 裕紀子
5
,
重見 研司
6
Mitsuru KIKUCHI
2
,
Hidekazu ITO
3
,
Yuka SAKURAI
4
,
Michiyoshi SANUKI
4
,
Yukiko YAMAZAKI
5
,
Kenji SHIGEMI
6
1東京医科大学 麻酔科学分野
2金沢大学医薬保健研究域医学系 精神行動科学
3愛知県医療療育総合センター中央病院 麻酔科
4国立病院機構呉医療センター・中国がんセンター 麻酔科
5福井大学医学部附属病院 集中治療部
6福井大学医学部附属病院 麻酔科蘇生科
pp.509-527
発行日 2022年6月1日
Published Date 2022/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101202257
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自閉スペクトラム症(ASD)は,諸外国だけでなく日本でも増加傾向にあり1),日々の診療で出会う頻度は増加している。しかし,発達障害により周術期管理が通常とは異なるという理由で,本来行われるべき手術ができないなど,医療を受ける機会を失う事例があることもたびたび耳にする。ASDは症状のバラエティーに富み,周術期医療を進めるうえでは専門的な知識が必要となってくる。われわれ一般的な施設の麻酔科医は,ASDに関する知識・経験ともに豊富ではなく,患者が指示に従わない,あるいはパニックになったら強制的に身体拘束をして麻酔をかければよいと考えてはいないだろうか。しかし,本当にそれでよいのか,麻酔科医にできることはないのか,日頃から疑問を感じていた。今回は,困難気道を有するASD患者を取り上げ,精神科医からの解説や対処法を参考にしつつ,具体的な周術期対応を考えてみたい。
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