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特集 成人の自閉スペクトラム症とライフステージの課題
中年期の自閉スペクトラム症者
On Psycho-social Problems of the Patients with Autism Spectrum Disorder in Their Middle Age
広沢 正孝
1
Masataka HIROSAWA
1
1順天堂大学大学院スポーツ健康科学研究科
1Graduate School of Sports and Health Science, Juntendo University, Chiba, Japan
キーワード:
Autism Spectrum Disorder
,
Adult
,
Life stage
,
Middle age
,
Psycho-social problem
Keyword:
Autism Spectrum Disorder
,
Adult
,
Life stage
,
Middle age
,
Psycho-social problem
pp.399-406
発行日 2016年5月15日
Published Date 2016/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405205162
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はじめに
成人の自閉スペクトラム症(Autism Spectrum Disorder;ASD)者は,高機能であればある程,それと同定されぬまま社会で生活していることが少なくない。その多くは,「生きにくさ」,「生活のしづらさ」を感じながらも,大きな破綻に直面せずに,社会生活を送っているものと思われる。しかし彼らの中にも,中年期に至って社会生活に「行き詰まり」,適応障害や種々の身体,精神症状を呈して精神科を受診してくる者がいる。やはり中年期は,ASD者にとって生活しにくいライフステージなのであろう。それはおそらく,成人のASD者の持つ自己-世界感およびそれに基づいた精神行動特性と,周囲から期待される社会習慣との間に生じる齟齬が,この時期にいっそう顕著になることによるものと思われる。
本稿では,中年期を生きるASD者の課題を,心理・社会的側面,精神病理学的側面から述べてみたい。
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