症例カンファレンス
高度肥満患者のm-ECT
小山 行秀
1
,
逢坂 佳宗
2
,
鎌田 ことえ
3
,
駒澤 伸泰
4
Yoshimune OSAKA
2
,
Kotoe KAMATA
3
,
Nobuyasu KOMASAWA
4
1医療法人社団こうかん会日本鋼管病院 麻酔科
2川崎市立川崎病院 麻酔科・集中治療部
3東北大学医学部 麻酔科学・周術期医学分野
4大阪医科大学 医学教育センター
pp.105-122
発行日 2021年2月1日
Published Date 2021/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101201890
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修正型電気けいれん療法(m-ECT)は1950年代後半までは,統合失調症への特殊療法であった。現在ではその適応が拡大されており,対象症例数は増加傾向にあると思われる。
m-ECTの管理においては,麻酔導入後はマスク換気のみで酸素化を維持し,ECT通電中から痙攣波が消失するまで無換気のまま観察し,その後直ちにマスク換気を再開するという1960年代から変わらない簡便な方法があり,きわめて短時間で終了するため,「いつもどおりの方法でやれば大丈夫だろう」と管理が軽視されることも多々あると思われる。
今回は,高度肥満患者のm-ECT管理である。病的肥満患者の手術麻酔の担当になったら,術前からいろいろ対策を立てて麻酔管理に臨む麻酔科医がほとんどであると思う。一方,m-ECTの場合,高度肥満症例であっても,「まあ,短時間だし,いつもどおりでいいかな」と考えてしまうかもしれない。m-ECTは短時間で終了し外科的侵襲が加わらないが,全身麻酔管理であることには変わりない。高度肥満患者の病態生理をよく理解したうえで,従来からの方法に固執することなく,柔軟に戦略を立てるべきである。
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