徹底分析シリーズ 麻酔科医を取り巻く医療機器・器具—手術室のことをもっと知りたい あなたへ
医療用ナビゲーションシステム—実臨床でのトリセツ
平石 哲也
1
,
藤井 幸彦
1
Tetsuya HIRAISHI
1
,
Yukihiko FUJII
1
1新潟大学脳研究所 脳神経外科
pp.648-652
発行日 2020年6月1日
Published Date 2020/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101201700
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外科手術の多くはおそらくどの科であっても,体表体内の指標を頼りに行われている。筆者が行う脳神経外科手術でも,基本的に頭蓋内の指標(動静脈,神経,頭蓋骨など)からオリエンテーションを確実にして行っている。指標が頼りになりにくい手術は,方向感覚の喪失が生じ,経験や技量の差が現れ,術者によっては非常に緊張を強いられる。
ナビゲーションシステムは,三次元座標における現在位置を表示するものであり,術者の方向感覚を補完する役目を果たし,術者に術中操作のリアルタイムな位置情報を提供してくれる。また,医療安全をより重視する観点からもナビゲーションシステムの使用頻度が増加している。医療用ナビゲーションシステムは,非常に脆い臓器である脳を扱う脳神経外科手術を安全・確実に遂行するための手術支援機器として発展してきた。
本稿では,医療用ナビゲーションシステムについて概説する。麻酔科医の目には,場所を取り,セッティングに時間がかかる,いささか厄介なものとして映っているかもしれないが,実臨床での使用の実際を理解していただき,明日からの臨床に役立てていただけたら幸いである。
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