クラシック音楽談義 ゆるりと音楽の話をしませんか 第12回
ベートーヴェンピアノソナタ第7番—生誕250年に寄せて
椿 隆行
1
1九州労災病院 麻酔科
pp.497
発行日 2020年5月1日
Published Date 2020/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101201665
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「美しい」曲が書けないベートーヴェン
ベートーヴェンの有名なピアノ曲と言えば「エリーゼのために」でしょう。この曲は佳曲ですが,ロマンチックなタイトルにしては,万人の心に響くような美しい曲ではありません。有名なピアノとヴァイオリンのためのソナタ「春」にしても,革新的と言われてはいますが“美しい”とは言えない曲です。
ベートーヴェンは,美しいメロディがちっとも書けませんでした。皆が思い浮かぶベートーヴェンの傑作といえば「英雄」「運命」「田園」などの交響曲でしょう。一方,ピアノ曲はとっつきにくいイメージがあり,聴いてやるぞという積極性が必要になります。ベートーヴェンの信奉者は,ベートーヴェンのピアノ曲を評してbeautifulとかsweetなどとは言いません。amazing, superb craftsmanshipやbreathtaking, incredible passage…などと評しています。
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