徹底分析シリーズ ステントグラフト治療最前線
ステントグラフトの長期合併症への対処—治療開始後10年が経過してわかってきたこと
千葉 清
1
,
小川 普久
2
,
西巻 博
1
Kiyoshi CHIBA
1
,
Hiroshi NISHIMAKI
2
,
Yukihisa OGAWA
1
1聖マリアンナ医科大学 心臓血管外科学
2聖マリアンナ医科大学 放射線医学
pp.984-988
発行日 2018年9月1日
Published Date 2018/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101201210
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
- サイト内被引用
日本において企業製腹部用デバイスの保険収載が2007年,胸部用デバイスが2008年と,本格的に大動脈瘤に対するステントグラフト(SG)治療が始まって約10年。この間にさまざまな企業製デバイスが登場し,さまざまな手技が考案され,今なお,発展途上である。
SG治療の導入を契機に設立された日本ステントグラフト実施基準管理委員会(JACSM)のレジストリーでは,2015年時点で51380例が登録され,その成績が解析されている1)。それによると,instructions for use(IFU)外の症例が,47.6%も含まれているにもかかわらず,手術死亡率は1.15%と,海外における過去の大規模研究と遜色ない結果が示された。
その一方で,人工血管置換術(open surgery,OS)との多施設ランダム化比較試験(RCT)における長期成績をみると,EVAR trial 12)では,術後6か月までは瘤関連死亡率はendovascular aneurysm repair(EVAR)が有意に低いのに対し,8年後はOSが有意に低い。The Dutch Randomized Endovascular Aneurysm Management(DREAM)の累積12年間の報告3)では,術後の追加治療回避率はOSが有意に高く,EVARの追加治療が課題とされる。実臨床においては,エンドリークによる瘤径拡大に対する追加治療が増加していることを背景に,腹部領域においてOSが占める割合が増加している施設もある。
Copyright © 2018, MEDICAL SCIENCES INTERNATIONAL, LTD. All rights reserved.