徹底分析シリーズ 続 痛み治療の素朴な疑問に答えます
帯状疱疹後神経痛に対する水痘ワクチンの効果について教えてください
比嘉 和夫
1
,
高橋 亨
2
Kazuo HIGA
1
,
Toru TAKAHASHI
2
1福西会ケアセンターひまわり苑
2福西会 福西会病院 麻酔科
pp.126-129
発行日 2017年2月1日
Published Date 2017/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101200775
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水痘・帯状疱疹ウイルスは,初感染の水痘時に感覚神経節に潜伏感染をきたし,水痘・帯状疱疹ウイルスに対する細胞性免疫の低下により帯状疱疹を発症させる。全人口の30%,80歳以上の50%が罹患する。加齢に伴い水痘・帯状疱疹ウイルスに対する細胞性免疫は特異的に低下するので,帯状疱疹の発症頻度は50歳以上で直線的に高くなるのである。
帯状疱疹後神経痛postherpetic neuralgia(PHN)は頻度が最も高い帯状疱疹の後遺症である。重篤なPHNでは,日常生活を楽しむことが困難になる。帯状疱疹に対して有効な抗ウイルス薬を発症後早期に使用しても,PHNを確実に予防することはできない。そこで,高齢者が増加している先進国では,50歳以上に水痘(帯状疱疹)ワクチンを接種し,水痘・帯状疱疹ウイルスに対する細胞性免疫を賦活させて帯状疱疹の発症を予防し,PHNの発生を低下させることが勧められている。現在,全世界で使用されている水痘あるいは帯状疱疹ワクチンは大阪大学微生物病研究所の高橋理明教授により開発された岡株である。
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