徹底分析シリーズ アナフィラキシー
まずは,アドレナリン治療—投与量・投与ルートについて
西垣 厚
1
,
河野 崇
1
Atsushi NISHIGAKI
1
,
Takashi KAWANO
1
1高知大学医学部 麻酔科学・集中治療医学講座
pp.942-947
発行日 2016年10月1日
Published Date 2016/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101200679
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アナフィラキシーに対する最も重要な治療はアドレナリン(エピネフリン)の投与である。アナフィラキシーによる死亡例は,アドレナリンの投与量,投与タイミング,投与経路についての知識不足によるとの報告がある1)。投与経路に関して,世界アレルギー機構World Allergy Organization(WAO)アナフィラキシーガイドラインでは筋注が推奨され,「ショック状態・心停止症例以外での静脈投与は有害事象の懸念から行うべきではない」とされている。ただしWAOガイドラインは,アレルギー/免疫専門医が行う初期治療を示すことを意図して作成されたものである。周術期に発生したアナフィラキシーでは,アドレナリンが静脈投与されることが多い。諸外国の周術期アナフィラキシーガイドラインにおいても,静脈投与が推奨されている。アナフィラキシー治療でアドレナリンを投与する場合には,その有用性を知ると同時に,起こり得る副作用も考慮する必要がある。
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