徹底分析シリーズ 心臓麻酔デビューに向けて:人工心肺を使う手術編〈基礎〉
人工心肺装置の仕組み—おどろおどろしく見えて 実は,一つ一つの構造はシンプル
伊藤 明日香
1
,
坪川 恒久
2
Asuka ITO
1
,
Tsunehisa TUBOKAWA
2
1久留米大学医学部 麻酔学講座
2東京慈恵会医科大学 麻酔科学講座
pp.822-828
発行日 2016年9月1日
Published Date 2016/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101200654
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1953年に米国のGibbonが20年間かけて開発した人工心肺装置により,初めて体外循環を利用した心臓手術(心房中隔欠損症)に成功した。日本では,1956年に曲直部(大阪大学),榊原(東京女子医科大学),井上(慶應義塾大学)らが体外循環下の心臓手術に成功した。以後,人工心肺装置の研究開発が行われ,60年を経た現在,安定した低リスクの体外循環が可能となった。
人工心肺cardiopulmonary bypass(CPB)の基本的役割は,心臓に還流する血液を脱血回収し,人工肺で酸素化して,送血ポンプで全身に送り循環させることである。こうすることで,開心術に無血野が得られる。まず脱血から血液の流れに沿って,CPB回路の構造を概説する(図1)1)。
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