コンタクトレンズ(24)
一つの誤植
長谷川 泉
pp.35
発行日 1961年4月10日
Published Date 1961/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662202307
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私は原稿を推敲しないたちである.原稿を書き直したという体験はふりかえつてみると小学校や中学校の作文にはあつたが,その後には,そのような体験はほとんどない.大学の卒業論文にしても,ぶつつけ本番で書きおろしであつた.
小学校や,中学校の頃の書き直しの体験を考えてみると,最初にはつきりした構想をたてるということなく,まず書いてみて,不備な点を直すということであつた.だからまず書きあげたものが,ほんとうは構想を立てる段階に相当するものであつたろう.この頃は,書く前に構想が立つ.それに従つて書くのだから,書き直しは不要になるわけである.そして,はっきりした構想として,構想が立つていなくても,テーマさえはつきりして筆をおろせば,おのずから執筆中に構想が立つてそれに従つてペンが走るようになつたのである.
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