徹底分析シリーズ 成人先天性心疾患
日本における成人先天性心疾患患者の現状—遠隔期合併症と診療体制について
丹羽 公一郎
1
Koichiro NIWA
1
1聖路加国際病院 心血管センター
pp.410-413
発行日 2016年5月1日
Published Date 2016/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101200559
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小児科あるいは外科の発達の恩恵を受けて,成人となった小児慢性疾患患者数は年々増加しており,中等度から重度の疾患をもつ成人患者が急増している1〜3)。これらの小児慢性疾患には,先天性心疾患,血液疾患,神経疾患,糖尿病などが含まれる。
先天性心疾患は,以前は,小児の病気と認識されていた。しかし1997年には,成人患者数と小児患者数はほとんど同数となり,現在,成人先天性心疾患患者は,小児患者よりも多い4)。先天性心疾患手術の多くは根治手術ではなく,成人しても,遠隔期合併症である不整脈や心不全を伴ったり,再手術を必要としたりとすることがある2,3)。また,心疾患に伴った全身多臓器の合併症のため,麻酔を含む専門的な管理を必要とする場合もある3)。すなわち,成人先天性心疾患に対しては,修復手術後であっても,生涯にわたる経過観察と専門的な診療体制が必要である。
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