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ロングの家系
◎ロングの祖父Samuel Long(1753-1822.7.7)
名誉革命(1688-1689)により英国から追放されフランスに逃げた,カトリックを信仰するジェームス2世James II of Englandは,フランス人とカトリック系アイルランド人(ジャコバイト軍)との連合軍を率い,プロテスタントが多く住む北アイルランド,アルスターUlster地方の城壁都市デリーDerry(公式にはロンドンデリーLondonderry)を包囲した(1688.12.18-1689.8.12)。ロングの曾祖父Henry Longは,包囲された直後のデリー市長であった。デリーをこの包囲から解放したのはプロテスタントであるイングランド女王メアリーMary II of England(ジェームス2世の娘)と夫のオランダ人のオレンジ卿ウィリアムWilliam of Orangeであった。
1762年,イングランドの圧政から逃れるためHenry Longの息子サミュエルSamuel Long(ロングの祖父)は妻と二人の弟とともにアメリカに渡り,ペンシルバニア州カーライルCarlisle近くのカンバーランドCumberland渓谷に落ち着いた。そこは,多くのスコットランド系北アイルランド人(Scots-Irish)*1の長老派Presbyterianが住む地であった。自らもScots-Irish系である,作家で合衆国上院議員Jim Webbの著書『Born Fighting:How the Scots-Irish Shaped America』(2004)によると,Scots-Irishは極端な個人主義で,家族を愛し,官僚を信用せず,古くさい軍の規律を嫌悪し,常に武器を携帯するなどが特徴であるとしている。ロング一家は典型的なScots-Irishである。だからこそ,英国相手のアメリカ独立戦争(1775.4.19-1783.9.3)にこの3兄弟も従軍した。
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