症例検討 肺水腫
再膨張性肺水腫—長時間虚脱していた肺にはご注意!
藤田 正人
1
Masato FUJITA
1
1安曇野赤十字病院 救急集中治療部
pp.1148-1152
発行日 2015年11月1日
Published Date 2015/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101200433
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
症例
44歳の女性。身長166cm,体重65kg。卵巣癌と大量の胸腹水貯留がある。腹部は大きく膨満し,肺容量は小さくなっている。両側で約2Lの胸水が貯留していると考えられる。全身麻酔下で子宮全摘術の前に胸水の除去術が予定された。
手術室で執刀直前に胸水を抜くことになった。どの程度の期間たまっていたのだろうか?一抹の不安を感じながらも,胸腔穿刺を見守った。胸水は淡血性,10分ほどで約1Lの右胸水を抜き終わり,穿刺針は抜去された。
開腹での子宮全摘術と両側付属器切除術(+場合によっては傍大動脈リンパ節郭清+大網切除術)が予定され,麻酔計画は硬膜外麻酔(ロピバカイン)併用気管挿管下全身麻酔〔酸素-空気-プロポフォール-レミフェンタニルでの全静脈麻酔(TIVA)〕とした。執刀して20分ほど経過したころから,酸素飽和度が低下し始めた。すでに腹腔内の操作に入っている。いったい何が起こったのだろう…?
Copyright © 2015, MEDICAL SCIENCES INTERNATIONAL, LTD. All rights reserved.