徹底分析シリーズ 患者安全 基本の「き」
コラム:電子カルテゆえの問題点について
澤 智博
1,2
Tomohiro SAWA
1,2
1帝京大学医学部 麻酔科学講座
2帝京大学医療情報システム研究センター
pp.354-357
発行日 2015年4月1日
Published Date 2015/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101200176
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『To Err Is Human』から10年余りが経過し,医療の安全性向上の一環として電子カルテシステムをはじめとする病院情報システムの導入が世界中で進んでいる。それと同時に,病院情報システムの導入・運用に関する知見が蓄積され,Institute of Medicine(IOM)は2012年に『Health IT and Patient Safety』を刊行した。ここで医療情報システムは,医療安全に対して,正の方向にも負の方向にも作用することが論じられている。また,医療情報システムを社会技術システムと位置付け,安全をシステムの「創発」として議論している。
医療機関の運営に大きな影響を与える病院情報システムであるが,その運用の実態については医療者からみえない部分が少なくない。システムの特性について「To Fail is System」という視点で議論し,安全を脅かす可能性のある運用実態について例示する。
過去30年足らずの間にわれわれの社会生活を便利に豊かにしてきた情報技術(IT)には,医療分野でのさらなる利活用が期待される。そのためには医療者,特に臨床医の積極的な関与が不可欠であることを強調したい。
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