医療を囲む声 病院の視力・聴力・感性
金持ち日本の貧しさゆえに
矢口 光子
1
Mitsuko YAGUCHI
1
1社団法人・農村生活総合研究センター
pp.159
発行日 1990年2月1日
Published Date 1990/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541900577
- 有料閲覧
- 文献概要
人間として診ると損する医療体系
医者は患者を人質に,教師は子どもたちを表面上は人質にしているから,人質の本人も家族も大層礼儀正しい.蔭でほめられ,感謝されている医師や教師のほうが少ないかも知れない.それに気付かぬ医師や教師もこっけいに見えるが,裏で悪口を言っても解決にはつながらない.この双方を結ぶことはできないか?と考えていたら,本誌の昨年奇数月に健康・医療ガイドセンター(松原氏)の活動が紹介されており,先見性と必然性があり,ただし金もうけにはつながらぬこの事業がよくスタートしたものだと感心した.
今の医師は人間をまるごとみることをしない.と言うより病気を診ているので,人間扱いをしていないドクターのほうが増えつつある.その理由は,医学の発達は専門分化に重点をおいて評価され,国民全体も○○の専門家というと尊敬し,医学も医療費(例えば点数制)も治療中心に成立っているので,その方向を強めざるを得ないのだろう.
Copyright © 1990, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.