連載 当世 問はずがたり
足るを知る
石黒 達昌
pp.109
発行日 2015年1月1日
Published Date 2015/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101200113
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- 文献概要
代議士先生も走る師走の町中に,正しいという言葉が氾濫しています。曰く,私と我が党が正しいのだと。自分の誤りを主張している政治家は,ちょっと記憶にありませんので,それ自体は「正しい」ことなのでしょう。とはいえ,およそ,その反対側にいるような,知り合いの名編集者の口癖も「それってすげー正しいわけでさ」だったりします。批判的な意見を期待して「〜ってどう思いますか?」と問いかけ,「それってすげー正しいわけでさ」と返ってくると,二の句が継げません。
まずは「しかし」と発想するのが常の,私を含めた作家連中とは逆の生き方です。彼らと渡り合っていくには,正反対の,肯定から入る発想が必要だったのかもしれません。彼に言わせれば,大義に欠けると批判の多い今回のアベノミクス解散だって,すげ〜正しい選択ということになるのかもしれません。もっとも,(書き方が)すげー正しいと言われ,掲載を心待ちにしていた原稿は私が気づかないうちに没にされ続けたわけですから,肯定は否定より一層厳しかったわけです。
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