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◆街を歩いていると,いろいろなものが差し出されます。飲食店の割引券だったり,近くで分譲されたマンションのご案内だったり。ご丁寧に,各戸も訪問してくださるようで,毎日,ポストにはその手のチラシが山盛りです。折角のご案内ですが,こちらにはまったく興味のないものが大半ですので,集合ポストの脇に設置されている“不要チラシ入れ”に直行です。
ただし,ティッシュが付いていると違います。ティッシュと一緒に透明の封筒に入った新聞の勧誘は,めでたく家の中までは運ばれます。駅前でもティッシュが差し出されれば,ありがたく頂戴しています。
◆紙野厚美氏の「朝の通勤途上,次の駅まで20分以上も停まらない快速急行電車が,相互直通運転をしている遠方路線で発生した事故のために突然,駅間で停止。ちょうど前夜の酒宴の食い合わせが悪く,下部消化管を支配する副交感神経活動が最高潮。ぎりぎりセーフで駅のトイレに駆け込んだあなたの目に飛び込むのは,痩せ細ったトイレットペーパーの哀れな姿である」(2012年LiSA11月号「はへほのはなし」より,許可なく改変して転載)という脅しに屈したのではありませんが,ティッシュに価値を感じているからです。
ものの価値は受け取る人によって,マイナスからプライスレスまで,大きな幅があります。私にとっては,ゴミが増えるのでマイナス評価(たぶん-5くらい)のチラシも,片面印刷の裏面をメモ用紙として活用している母にとっては,まあまあ価値のある紙(たぶんプラス評価)のはず。
◆配布する側は,この“まあまあプラス”な物を見つけるのに一苦労です。安価で大量に作成でき,多くの人が,ちょっとした価値を感じて受け取ってくれる物。気軽に手に持てるサイズと重量であることも求められるでしょう。
消費者金融や不動産会社など多くの業種はポケットティッシュを,製薬会社は3色ボールペンを見いだしました。そして「うちわ」もそうですね。一部の人には残念ですが“まあまあ”価値があるものです。帽子も日傘も家に忘れ,40℃を超える猛暑の日中に,さて,今からこの炎天下をひたすら徒歩で移動をするのか…というタイミングで「どうぞ」と差し出されれば,日よけとしてありがたくいただくでしょう。プラスチックの柄がついていれば,なおさら受け取りやすいですね。渡してくれた人に深い恩義を感じるかもしれません。
「価値のある物を配るな」は「何も配るな」と同意です。誰しもが「価値なし」とする物があったとして,それを配布するのは嫌がらせですし,誰も受け取りませんから。
◆LiSAでも「年間購読」をお申し込みいただいた方に渡す“まあまあ”を思案しました。「LiSAうちわ」も誰かには喜んでいただけるかもしれません。
でも,「また1年,LiSAを楽しめる」というワクワク感を“プライスレス”と感じていただけるよう,内容を充実させる努力をまずしなければ,と正気に戻りました。
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