連載 漢方の歩き方 レーダーチャートで読み解く痛みの治療戦略:第9回
温める,再び
矢数 芳英
1,2
1東京医科大学病院 麻酔科
2温知堂 矢数医院
pp.600-606
発行日 2014年6月1日
Published Date 2014/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101102155
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荒:あれ?今回は三つ目の戦略(図1)「水分の偏在を正す」についてなのでは?
矢:その予定でしたが,頭痛によく使われる「温める」作用のある処方の紹介を先にします。なぜなら,「水分の偏在を正す」戦略は頭痛治療に応用できるので,それを説明する前に頭痛治療の基本薬についてお話ししたいのです。
福:「温める」といえば附子と当帰でした。附子の入った7.八味地黄丸は加齢に伴う頭痛に使えて*1,当帰の入った38.当帰四逆加呉茱萸生姜湯は寒冷刺激によって増悪する頭痛に応用できる*2という話でしたね。
荒:63.五積散は冷房によって体が冷えて頭痛が出たときに使うとよいという話もありました*3。
矢:二人ともよく覚えていますね。それらも確かに有用ですが,主訴が頭痛のときには別の処方があるのです。
荒:頭痛にはもっとよい漢方があるのですね♡楽しみです。
矢:それでは,実際の症例をみながら一緒に考えていきましょう。
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