連載 漢方の歩き方 レーダーチャートで読み解く痛みの治療戦略:第7回
水位を増やす
矢数 芳英
1,2
1東京医科大学病院 麻酔科
2温知堂 矢数医院
pp.266-274
発行日 2014年3月1日
Published Date 2014/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101102077
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矢:前回は微小循環障害による痛みについて説明しました。典型的にはどんな痛みでしたか?
荒:固定した部位で,刺すような絞られるような強い鋭い痛みでした。それから,夜は「冷え」て「動かない」ので,血液の戻りが悪くなり,痛みが強くなる場合がある,という話が印象的でした。
福:慢性痛には,典型的な症状がそろわなくても微小循環障害を疑って,6つの治療戦略(図1)のうち「微小循環の改善」を試みるとよいということでしたね。かなり多くの患者さんに「微小循環の改善」が著効していたのには驚きました。
矢:では,微小循環障害には二つの病態があり,それぞれに治療戦略があることを森の中の川の流れの例えで説明したのですが,覚えていますか?
荒:もちろんです。「血瘀」と「血虚」ですね。
福:前回は,川の流れが滞る「血瘀」という病態に対して,流れをスムーズにする「活血(駆瘀血)」という治療戦略を勉強しました。もう一つは,川の水が干上がってしまう「血虚」という病態に対して,川の水位を増やす「補血(養血)」という方法があるということでした。
荒:今回はその補血のやり方ですよね。楽しみです。
矢:では,実際の症例からみていきましょう。
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