徹底分析シリーズ 脳死ドナー発生!臓器摘出術をマネージメントせよ
脳死下臓器提供の現状と課題―時間的,経済的,人的負担への対応は不十分ながらも進行中
福嶌 教偉
1
Norihide FUKUSHIMA
1
1大阪大学大学院医学系研究科 重症臓器不全治療学
pp.1072-1077
発行日 2012年10月1日
Published Date 2012/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101101652
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「自国人の移植は自国内で」というイスタンブール宣言を受けて,2009年7月に臓器移植法が改正された。2010年1月17日から親族への優先提供に関する法が,7月17日には残りの法が施行された。
改正法施行後約2年が経過したが,改正前は年間10件程度であった脳死下臓器提供は約5倍に増加し,3名の児童からも提供された。東日本大震災,臓器売買という負の報道があったにもかかわらず,2012年8月15日までに行われた脳死下臓器提供は88件で,改正法施行前約13年の86件を2年間で上回った(図1)。それでも図2に示すように,人口100万人当たりの心臓提供数は欧米の2~8人と比べ,0.24人と少ないのが現状である。
脳死下臓器提供が可能な施設は,これまで,いわゆる5類型施設〔大学附属病院,日本救急医学会の指導医指定施設,日本脳神経外科学会の専門医訓練施設(A項),救命救急センター,日本小児総合医療施設協議会会員施設〕であった。2012年5月1日から日本脳神経外科学会の専門医訓練施設(A項)が脳神経外科学会の基幹施設または研修施設に拡大されたため,今後さらに脳死下臓器提供が増加する可能性がある。
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