徹底分析シリーズ 麻酔科的緩和医療
神経破壊を目的とした神経ブロック―先達麻酔科医の経験を継承し,癌患者を痛みから解放しよう
山口 重樹
1
YAMAGUCHI,Shigeki
1
,
Donald R. Taylor
2
1獨協医科大学 麻酔科学教室
2Comprehensive Pain Care, P.C. Pain Management, Clinical Research and Office Based Opioid Addiction Treatment
pp.824-828
発行日 2012年8月1日
Published Date 2012/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101101600
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麻酔科医が痛みを緩和するために駆使してきた神経ブロックには,オピオイドを硬膜外腔や脊髄くも膜下腔に投与する手段と,痛みの原因神経を破壊する手段がある。
オピオイドの硬膜外腔,脊髄くも膜下腔への投与は,麻酔科医であれば,日常の麻酔業務で行う手技と大きな違いはないので,容易にできる。しかし,継続治療のためにはカテーテル留置,皮下ポート設置,体外式持続注入器の携帯など,患者に負担を強いる面もある。
一方,痛みの原因神経の破壊は,手技が複雑で,施行には経験と熟練を必要とするが,神経破壊に成功すれば,以降に特殊な機器の携帯が必要ない,全身投与されていた薬物を減量あるいは中止できる,といった福音をもたらし,患者のQOLを著しく向上させることができる。
本稿では,先達麻酔科医が,これまでに確立し,経験を積み重ねてきた神経破壊を目的とした神経ブロックについて述べる。
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