徹底分析シリーズ 麻酔科的緩和医療
内服・貼付薬の使い方:NSAIDs・オピオイド・鎮痛補助薬―麻酔科医なら3段階除痛ラダーの一歩先へ
田上 正
1
,
東 加奈子
2
,
安部 英治
3
Tadashi TANOUE
1
,
Kanako AZUMA
2
,
Eiji ABE
3
1東京医科大学 麻酔科学講座
2東京医科大学病院 薬剤部
3熊本市医師会熊本地域医療センター 麻酔科・緩和医療科
pp.798-804
発行日 2012年8月1日
Published Date 2012/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101101595
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麻酔科医は,医療用オピオイドを使用する機会が多い。「麻薬=麻酔科医がプロ」というイメージがあるが,手術室やICUで使用するオピオイドは注射薬である。一方,緩和医療で用いられるオピオイドは,世界保健機関(WHO)による鎮痛薬投与の5原則(表1)に従い,内服薬から始めることが多い。坐薬や貼付薬は,手術室で使うことはまずない。
手術中の鎮痛薬としてレミフェンタニルが汎用されているが,筋拘縮や呼吸抑制が生じやすく,また半減期が短いので,術後鎮痛やがんの痛みのコントロールには不向きである。モルヒネやフェンタニルは,全身麻酔時や術後鎮痛目的に経静脈や経硬膜外で投与する。術後鎮痛には,自己調節鎮痛patient-controlled analgesia(PCA)ポンプを使用することが多い。これらの術後鎮痛のオピオイド投与方法は,難治性のがんの痛みをコントロールする際に重要な役割を担う。
本稿では,緩和医療の基礎として麻酔科医が知っておくべき,非ステロイド性抗炎症薬nonsteroidal anti-inflammatory drugs(NSAIDs),オピオイド,鎮痛補助薬の使用方法,副作用対策,オピオイドローテーションなどについて解説する。
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