徹底分析シリーズ 麻酔科的緩和医療
電動式PCAポンプを用いたがん性痛管理―簡便で迅速な疼痛コントロールが可能に 突出痛や神経障害性疼痛にも対応できる
飯嶋 哲也
1
Tetsuya IIJIMA
1
1山梨大学医学部 麻酔科学教室
pp.806-809
発行日 2012年8月1日
Published Date 2012/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101101596
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2010年の日本緩和医療学会による『がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン』1)の索引には,自己調節鎮痛patient-controlled analgesia(PCA)という用語はない。これは,がん性痛に対するPCAに関して,有効な臨床研究がないことの裏づけとも解釈できる。しかし,がん性痛の緩和にPCAが無効だということでもない。
図1に示すように,山梨大学医学部附属病院(以下,当院)では,2011年に2239例(1週間当たり約40例)に対して電動式PCAポンプを用いた疼痛管理を行った。そのうちのがん性痛および非がん性痛を含めた403例に対して,電動式PCAポンプを用いた緩和ケアを行った。403例のうち硬膜外PCAを行ったのは1例のみで,ほかはすべて静脈内PCA(IV-PCA)であった。
このように,当院緩和ケアチームにとって,IV-PCAは必要不可欠なツールである。その理由は,①迅速に疼痛コントロールができること,②簡便であること,③突出痛break through pain(BTP)への対応が容易であること,④複数の薬物を同時に投与できること,である。
本稿では,まず上記4点を中心に,がん性痛とPCAについて解説し,緩和ケアチームにとって,PCAが強力なツールであることを示す。次に,当院緩和ケアチームの電動式PCAポンプを用いた疼痛管理の実際を紹介する。
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