症例検討 癌治療と麻酔
舌癌―開口障害,後屈困難の気道確保にはVFNI法を
谷上 博信
1
,
井浦 晃
1
TANIGAMI, Hironobu
1
,
IURA, Akira
1
1大阪府立成人病センター 中央手術科
pp.306-311
発行日 2012年3月1日
Published Date 2012/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101101490
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
症例
66歳の男性,身長160cm,体重50kg。舌癌に対して舌亜全摘+両側頸部リンパ節郭清,腹直筋皮弁による再建(マイクロ下血管吻合)が予定された。術前補助放射線療法が施行されている。ヘビースモーカーで,アルコール多飲歴あり。導入後,気管挿管を試みるが,舌根部が持ち上がらず,喉頭展開不良。再度換気を施行し,再び気管挿管を試みるが,挿管できなかった。気管支ファイバースコープの挿管も,口腔内分泌物や出血によって良好な視野が得られない。外科サイドから緊急気管切開が提案された。
気管切開後にらせん入りチューブ8.0mmを気道へ挿入し安定後に手術開始した。頸部リンパ節郭清中に突然SpO2 95%,PIP 20mmHg,VT 300mLへ低下したが,その後,SpO2が改善したので,手術を再開した。手術時間は8時間45分。主治医からの要請で,術後24時間の軽い鎮静を依頼された。
Copyright © 2012, "MEDICAL SCIENCES INTERNATIONAL, LTD." All rights reserved.