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2010年10月号より,本誌で「院内急変対応システムとは何か?」という連載をスタートし,6月号までに7回を重ねている。この連載は,予期し得なかった院内心肺停止の発生や死亡を減らすために,Buistらの報告(BMJ 2002 ; 324 : 387-90.)以降,欧米で導入が加速したRapid Response System(RRS)について,世界の現状と日本での効果的な運用方法を,多方面から解説することを意図していた。
日本における院内急変対応の多くは,院内において患者が予期し得ない急変に陥ってから,院内救急コール(Code blue)によって手の空いている医療従事者を招集し,全館的な対応をするのがほとんどである。しかしCode blueは,重大事案が発生した後に発動されるコード(対応策)であり,こうした事案を未然に防ぐことが求められる医療安全の面では後手である。また,全スタッフが招集対象なため,現場の統制がとれず,効果的な医療処置ができないという問題もある。
チームで緊急の医療介入を行うのは,麻酔,救急,集中治療を専門とする医師や看護師が得意とするところで,読者の中には,院内急変の対応に力を発揮している者もいるだろう。しかし,ただでさえ多忙な各科のスタッフが,十分な院内急変対応の役割まで担うのは困難である。専門性を持ったスタッフによる迅速かつ的確な医療介入を,通常業務を滞らせることなく提供するにはどうすればよいのか。
今回,日本で先駆的にRRS的急変対応策を運営している七つの病院の取り組みを紹介してもらった。各稿には,今後RRS導入を検討する際に大いに参考になるであろうTipsが散りばめられている。
RRSの形は一つではないし,もちろん「正解」もない。読者が医療安全について深く考え,その解決策の一つとして,自施設に即したRRSを導入されることを期待したい。
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