連載 院内急変対応システムRapid Response System(RRS)とは何か?
non-technical skillsの習得トレーニング
中川 雅史
1
NAKAGAWA, Masashi
1
1社会保険紀南病院 麻酔科
pp.412-415
発行日 2011年4月1日
Published Date 2011/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101101215
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
院内全館放送のアラーム後,「Dr. ハリー,Dr. ハリー,5階東病棟まで」と放送された。大急ぎで5階東病棟へ駆け上がる。
そこには,スタッフ医師,研修医,看護師,見物の患者など,10人を超える人だかりができていた。さらに,病室のどこからともなく,「挿管,挿管」,「モニター,モニター」,「DC,DC」,「ボスミン早く」など,誰が誰に言っているのかわからない指示が飛び交っていた。その中心には,主治医なのだろう,一人の研修医が患者のそばでぼうぜんと立ち尽くしていた。
全館放送から5分が経過しても,患者にはまだ適切な処置は行われていなかった。
これは,レベルの低い病院での出来事でしょうか。決してそうではありません。筆者の経験では,多くの研修医を抱える大病院のほうが,多くのスタッフが集まり,現場は,収拾がつかなくなることが多いように思えます。
では,なぜ,このようなことが起こるのでしょうか。多くの部署から蘇生方法を熟知している指導医,研修医,看護師が集まっていながら,なぜスムーズな処置が行われないのか。それは,適切なリーダーがおらず,emergency callのpitfall(メモ1)から抜け出せなくなるためなのです。
では,そうならないようにするには,どうすればよいのでしょうか。
Copyright © 2011, "MEDICAL SCIENCES INTERNATIONAL, LTD." All rights reserved.