連載 治療薬アラカルト
最近の話題―副甲状腺ホルモンアナログが骨粗鬆症の治療薬?
中木 敏夫
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1帝京大学医学部 薬理学講座
pp.1034
発行日 2010年10月1日
Published Date 2010/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101101058
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正反対の生理作用のはずなのに…
副甲状腺ホルモンの生理学的作用は,骨に対する作用として破骨細胞を活性化し,かつ骨芽細胞を抑制することにより,骨吸収を促進し,その結果,骨からカルシウムとリン酸が血漿に供給される,と多くの生理学の教科書に記載されている。したがって,副甲状腺ホルモン製剤が骨粗鬆症に有効であるとは考えられず,実際に,これまで治療には用いられていなかった。
しかし,2002年にベルギーのイーライリリー社(本社,米国)の研究チームが遺伝子組換えヒト型副甲状腺ホルモン(1-34)であるテリパラチドとビスホスホネートを無作為化比較対照試験により比較し,ビスホスホネートよりも椎骨以外の骨折が減少したと結論した(J Clin Endocrinol Metab 2002 ; 87 : 4528-35)。当時は,生理学的予想からか,この結果は疑問視され,この論文に対する異議が翌年の同じ雑誌に掲載された。しかし,その後,テリパラチドが骨粗鬆症に有効であるという無作為化比較対照試験が相次いで発表された。
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