連載 治療薬アラカルト
最近の話題:合剤(配合剤)が増えてきた,その理由は!?
中木 敏夫
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1帝京大学医学部 薬理学講座
pp.828
発行日 2010年8月1日
Published Date 2010/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101101011
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規制緩和で合剤の承認数が増加中
今年の3月に本態性高血圧の治療薬として,アンジオテンシン受容体拮抗薬とカルシウム拮抗薬の合剤が承認された。複数の成分を一つの剤形のなかに配合した医薬品を「合剤」もしくは「配合剤」と呼ぶ。
ここ数年,特に生活習慣病治療薬のなかで,合剤の承認数が増加してきた。1990年代は,合剤の承認条件が厳しく設定されていたため案件数も少なかった。その条件とは,①輸液など用時調製が困難なもの,②副作用軽減または相乗効果があるもの,③その他特に必要と認められるもの,であった。その後,規制緩和の流れのなかで,海外から配合剤の承認要件の緩和を要求されたことを受けて厚生労働省は規制を緩和した。新たに設定された条件は,従来の第3項目を具体的に記述したものとなっており,③患者の利便性の向上に明らかに資するもの,④その他配合意義に科学的合理性が認められるもの,となった。この規制緩和後に合剤の承認数が増加したという事情がある。
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