徹底分析シリーズ 緊急輸血:予期しない,あるいは予想を超えた出血
血液製剤の供給システム:血液センターの現状と,安全な血液確保のための施策
稲葉 頌一
1
INABA, Shoichi
1
1神奈川県赤十字血液センター
pp.618-621
発行日 2010年7月1日
Published Date 2010/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101100966
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医療現場で緊急輸血が必要な状況は,二つに分類することができる。第一は,外傷や産科出血などの救急患者への対応である。病棟で突然吐血した潰瘍患者なども,これに該当する。第二は,手術室で想定を超えた出血が生じ,院内の在庫がなくなって血液センターからの緊急供給が必要な場合である。前者への対応は,厚生労働省作成の『輸血療法の実施に関する指針 第4版』1),薬食発第0220002号,平成21年2月10日,厚生労働省医薬食品局長通知,第Ⅴ章2項「緊急時の輸血」で,血液型確認が不十分な緊急事態での万能血としてO型血を使用することが認められている。後者に対しては,日本麻酔科学会と日本輸血・細胞治療学会の合同作成ガイドラインとして『危機的出血への対応ガイドライン』2,3)が平成17(2005)年に両学会から発表されている。同様に異型適合血の使用を認めているが,赤血球のみならず血漿と血小板についても異型適合血容認の枠を広げている。
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