特集 ウイルス肝炎
血液製剤の安定供給と安全対策
河原 和夫
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1東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科環境社会医歯学系専攻医療政策学講座政策科学分野
pp.786-789
発行日 2005年10月1日
Published Date 2005/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100160
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現在輸血に用いられる輸血用血液製剤はすべて,国内の献血由来血液によって賄われているが,過去には輸入された血液製剤によるHIV感染事件もあったことは,多くの読者の記憶にも残っていることであろう.また,輸血事故も時折報道されるが,これらはいったん生じると重篤な結果を生じるとともに,行為自体が可視化しやすい面があるため,マスコミや国民の関心が高い事象である.輸血医療の安全性向上は,輸血という医療行為を改善するのみで向上するものではなく,血液製剤自体の安全品質を高めることも重要な要素となっている.
安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律(旧:採血及び供血あっ旋業取締法)の制定
血液事業に関する法律である「採血及び供血あっせん業取締法」ができたのは,売血が主体であった1956年のことである.2002年に「安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律(以下,血液法)」と名称も新たに,実に46年ぶりに改正された.改正のポイントは,①血液製剤の安全性および安定供給のための国内自給に関する国の責務に言及したこと,②血液製剤の医療現場での適正使用を推進すること,である.これらを厚生労働大臣は基本方針に定めることとなった.また,採血事業者や製造販売業者は,製造,輸入する予定の血液製剤の量や,原料血漿の確保見通しなどを厚生労働大臣に届け出て,これをもとに厚生労働大臣は,血液製剤の安定供給のための需給計画を定めることとなった.あわせて,血液製剤等の生物由来の製剤を使用する際の安全管理体制を強化するために,薬事法も改正された.
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