徹底分析シリーズ 術前評価と麻酔
注意すべき慢性呼吸器疾患:慢性閉塞性肺疾患の術前評価
大塚 祐史
1
,
村山 隆紀
1
,
瀬尾 憲正
2
OTSUKA, Yuji
1
,
MURAYAMA, Takanori
1
,
SEO, Norimasa
2
1自治医科大学附属さいたま医療センター 麻酔科・集中治療部
2自治医科大学 麻酔科学・集中治療医学講座
pp.580-585
発行日 2010年6月1日
Published Date 2010/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101100958
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術後呼吸器合併症は,非胸部外科手術患者の5%前後に発生し,術後1週間以内における死亡原因の約4分の1を占めるなど,心血管系合併症と並ぶ重要な術後合併症である1)。リスクは,手術関連因子と患者関連因子の2種類に大別される。手術関連因子としては,①手術部位(横隔膜に近いほどリスクが大きい),②緊急手術,③手術時間(3時間以上),④全身麻酔,がある。また,患者関連因子としては,①COPD,②60歳以上の高齢者,③ASA分類2以上,④日常生活に介助を要する状態(functionally dependent),⑤うっ血性心不全,が挙げられる2)。
なかでもCOPDは,古くから術後呼吸器合併症のリスクとして認識されており,術後呼吸器合併症発症率は非COPD患者と比較すると2.7~4.7倍に上昇する3),とも報告されている。リスクのある手術を予定されている患者がCOPDを有するのか否かを適切に評価することは,手術の妥当性(リスクと利益)を評価するための,重要な要素となる。
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