症例検討 吸入麻酔薬:使用時の注意点
コラム:企画担当者のつぶやき
安田 信彦
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1学校法人慈恵大学 経営管理研究室
pp.668
発行日 2009年7月1日
Published Date 2009/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101100699
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セボフルランとBIS
侵害刺激のない状態では,セボフルランをはじめとする揮発性麻酔薬を臨床使用濃度範囲内で投与すれば,動脈圧は低下する。つまり,動脈圧の低下は必ずしも過量投与を意味しない。したがって,動脈圧が低いからといって,麻酔ガスモニターのない時代はともかく,機械的にセボフルランの濃度を下げることは好ましくない。濃度を下げる場合は,必要な麻酔深度を維持しなければならないが,吸入麻酔薬の麻酔深度を推し量るのに最も信頼できるのが脳内の分圧と相関する古典的な終末呼気濃度である。
BISについては,筆者はBIS値が40であっても手術操作の刺激によって体動を何回か経験している。そのときは,BISを基準にしてセボフルランの濃度を調節していて,終末呼気濃度は0.4~0.6MACであった。終末呼気濃度からすれば患者が動くのは不思議でもない。筆者は筋弛緩薬を必要時以外には使用していないが,筋弛緩薬をルーチンに使用していれば,このような経験はあまりないであろう。吸入麻酔薬使用時にBISをモニターする場合,このような点に留意したい1,2)。セボフルランの深度判断の基準を終末呼気濃度に置き,BISでその結果を再確認するというのが最も合理的であろう。
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