症例検討 モニタリングをめぐるトラブルとその対処法3
カプノメータ:代謝性アシドーシスの治療に炭酸水素ナトリウムを静注したら,呼気終末二酸化炭素分圧が上昇してきた。
アシドーシス治療において,PaCO2の一時的な増加は重要ではない~Stewart approachの考え方!/PETCO2が著しく低下した場合は低肺血流状態を疑い,炭酸水素ナトリウムを投与すべきではない
上山 博史
1
,
平林 剛
2
,
内野 博之
2
Hiroshi UEYAMA
1
,
GO HIRABAYASHI
2
,
Hiroyuki UCHINO
2
1関東労災病院 麻酔科
2東京医科大学八王子医療センター 麻酔科
pp.510-512
発行日 2008年5月1日
Published Date 2008/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101100126
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重炭酸緩衝系は,血液を含む細胞外液のpHの変動を小さくするうえで重要な役割を担っている。
H2O+CO2←→jH2CO3←→H++HCO3-
上の化学式からわかるように,炭酸水素ナトリウムを投与すると100mEq(0.7%炭酸水素ナトリウム120mL)当たり2.2Lの二酸化炭素が産生される。これは,成人の10分間に呼出される二酸化炭素量に相当する。したがって,人工呼吸下の代謝性アシドーシスを示す患者で,炭酸水素ナトリウムを短時間に投与した場合,人工呼吸器の設定を変更しなければ,少なくとも10~15分間は呼気二酸化炭素分圧の上昇が続くはずである。
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