徹底分析シリーズ 脳:高次機能障害
術後高次脳機能障害(POCD)を考える:病態の理解と麻酔管理の考え方
石田 和慶
1
,
松本 美志也
1
,
坂部 武史
1
Kazuyoshi ISHIDA
1
,
Mishiya MATSUMOTO
1
,
Takefumi SAKABE
1
1山口大学大学院医学系研究科 麻酔・蘇生・疼痛管理学分野
pp.546-549
発行日 2008年6月1日
Published Date 2008/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101100096
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高齢社会を迎え,合併症を持つ患者の手術・麻酔症例が増加している。今日,麻酔の安全性は著しく高まったが,麻酔科医は患者の術後のQOLについても関心を持たねばならない。身体的に明らかな問題がないにもかかわらず,QOLを低下させ問題となる周術期中枢神経合併症に術後高次脳機能障害postoperative cognitive dysfunction(POCD)がある。POCDは,多くの患者は“なんとなくおかしい”状態で退院し,日常生活に戻って初めて異常に気づくこととなる。POCDは古くから認識されていたが,注目されるようになったのは1990年代である。
本稿では,POCDとは何か,その誘発の要因,長期的予後,麻酔管理のポイントを分析する。
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