徹底分析シリーズ 酸素:ヒトの強い味方,酸素を理解する!
酸素の役割:心肺停止で意識が消失する理由
福家 伸夫
1
Nobuo FUKE
1
1帝京大学ちば総合医療センター 救急集中治療センター
pp.222-226
発行日 2008年3月1日
Published Date 2008/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101100047
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酸素はヒトの生体エネルギー産生には不可欠の物質であり,段階的に進行する酸化還元反応に関与して,生体が利用できる形のエネルギーを生み出してゆく。このシステムを電子伝達系という。しかしながら生体は酸素を積極的に引き込む機能,すなわち能動輸送の機能は持っておらず,純粋に圧力差により拡散してくる酸素を取り込むだけなので,酸素の取り込み(=外呼吸)や輸送(=内呼吸)に何らかの障害が生じると,ごく短時間で生命活動を営むことが不可能になる。しかもヒトでは体内の酸素備蓄はきわめて乏しいため,ひとたび心停止に陥ると,ものの10秒ほどで脳組織内の酸素は消費されてしまう。しかし呼吸は停止したが心拍はあるという状態なら,通常でも5分程度は耐えうる程度の酸素はあるし,あらかじめ脱窒素化しておけば,さらに10分程度は酸素供給なしでも耐えられる。
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