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特集 AHA心肺蘇生国際ガイドライン2000の普及に向けて
本邦における心肺停止の実情
Epidemiological Status of Out-of-hospital Cardiopulmonary Arrest in Japan
田辺 直仁
1
,
古嶋 博司
2
,
相澤 義房
2
Naohito Tanabe
1
,
Hiroshi Furushima
2
,
Yoshifusa Aizawa
2
1新潟大学大学院医歯学総合研究科地域予防医学講座健康増進医学分野
2新潟大学大学院医歯学総合研究科器管制御医学講座循環器学分野
1Division of Health Promotion, Niigata University Graduate School of Medical and Dental Sciences
2Division of Cardiology, Niigata University Graduate School of Medicine and Dental Sciences
pp.1079-1086
発行日 2003年11月1日
Published Date 2003/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100741
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はじめに
わが国では院外心肺停止例における蘇生率の低いことが従来から指摘されており,1991年には蘇生率向上を目指して救急救命士制度が発足した.その後,救急救命士は順調に増加し,2002年には全救急隊員57,515人中18.8%(有資格者は19.7%)を占めるに至ったが1),当初期待されたほど予後の改善がみられなかったとの指摘もある2).このような状況下,予後改善への期待から秋田市などにおいて法律で認められていない救急救命士による気管挿管が有効性の評価がないまま組織的に行われていたことが発覚し,大きな社会問題となったことは記憶に新しい3).
院外心肺停止の予後を改善して社会復帰率を高めるためには,わが国における院外心肺停止の実情,および従来行われてきた諸対策の効果を検証し,エビデンスに基づいた有効な対策の普及を図ることが必須である.そこで今回,わが国における院外心肺停止の実情,および救命・社会復帰に効果が認められた救急処置の実情などについて,主として消防庁の資料をもとに文献的考察を加えて検討した.
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