徹底分析シリーズ 酸素:ヒトの強い味方,酸素を理解する!
巻頭言
入田 和男
1
1九州大学大学院医学研究院 麻酔・蘇生学分野
pp.221
発行日 2008年3月1日
Published Date 2008/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101100046
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- 文献概要
「安全な麻酔のためのモニター指針」においてvigilanceの対象となるのは,まず酸素化である。それに引き続き,換気・循環という酸素供給システムの評価,体温という酸素消費の評価へと進む。つまり,モニター指針は,実にグローバルではあるが,酸素代謝を評価することによって,手術患者の安全を確保しようとするものである。では,麻酔導入前の酸素投与はなぜ有効なのか,酸素投与による動脈血酸素分圧の上昇が著しい患者とそうでない患者の違いは何か,動脈血酸素飽和度は90%を切ると急激に低下するのはなぜか,われわれの生体は低酸素をどのように検知しているのか,脳血流停止から意識消失までの経過が数秒と短いのはなぜか。こうした問いに明解に答えられる麻酔科専門医志望者はどの程度おられるであろうか。
今回の徹底分析では,可能なかぎり数式を用いることにより,これらの質問に対する科学的な回答が試みられている。初歩的な質問に知的に回答できる麻酔科医が増えれば,学生やスーパーローテーターの麻酔科志望者も増えそうである。酸素消費者のお一人としても,有意義な情報が満載の本徹底分析にぜひ目を通していただきたい。
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