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筆者は昨年5月,カナダのバンフで行われた『第1回日本・米国産科麻酔ジョイントミーティング』と,その翌日から行われた“第39回SOAP(Society of Obstetric Anesthesia and Perinatology)”に参加した。そのなかで最も印象に残ったプログラムは,昨年の本誌12月号『SOAP2007年印象記』(LiSA 2007 ; 14 : 1234)で里元麻衣子先生が書かれているのと同様,“Pro/Con debate”であった。タイトルは,“Neuraxial techniques for labor analgesia should be placed in the lateral position”である。欧米では坐位で穿刺する麻酔科医が多いとは聞いていたが,側臥位か坐位か,穿刺体位がディベートの対象となること自体が驚きであった。
Pro側は産科麻酔で有名なハーバード大学ブリガム&ウィメンズ病院のDr. Lawrence Tsenであり,Con側はミシガン大学ウィメンズ病院のDr. Linda Polleyであった。Tsenは巧みな話術とスライドで数分に1回は会場を大爆笑の渦に巻き込み,片や,Polleyは『ロッキー3』の主題歌であるサバイバーの『アイ・オブ・ザ・タイガー』にのって華々しく登場し,その後もロッキーに扮してボクシンググローブをつけたまま,鮮やかに硬膜外カテーテルを挿入*1,Pro側をノックアウトさせるという内容で,こちらも場内は大爆笑であった。
ディベートの中身はというと,Tsenは,飛行機のエコノミークラスで座ったままとビジネスクラスで横になった場合はどちらが楽か,と聴集に問いかけ,横になった姿勢のほうが母子ともに生理的であり,側臥位穿刺のほうが勝る,と主張。一方のPolleyは,坐位での穿刺の成功率の高さ,合併症の少なさなどを力説していた。
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