特集 あらためて考える—肺癌周術期治療 課題とこれから
序文
あらためて考える—肺癌周術期治療 課題とこれから
釼持 広知
1
1静岡県立静岡がんセンター呼吸器内科
pp.4-5
発行日 2025年2月1日
Published Date 2025/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.243232680730010004
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非小細胞肺癌のⅠ〜Ⅱ期とⅢ期の一部では,外科切除が治療の中心を担っている.周術期に薬物療法を追加することによる治療成績の向上が望まれ,2000年代には日本からUFT,海外からはシスプラチンを含む併用療法の,術後補助化学療法としての有効性が第Ⅲ相試験で示されてきた.これらの術後補助化学療法を行うことによる効果は限定的であり,さらなる治療開発が望まれてきた.しかし,新規抗がん剤は,進行または再発肺癌での開発が主体であり,周術期の開発がなかなか進んでこなかった.
2020年以降になり,分子標的治療薬や免疫チェックポイント阻害薬を用いた術後補助化学療法の有効性が示された.さらには,術前治療においても免疫チェックポイント阻害薬+プラチナ製剤を含む併用療法の有効性が示され,さらには術前および術後に免疫チェックポイント阻害薬を投与することでも,術前同様に有効性が示された.これに伴い,周術期薬物療法の期待は高まり,様々な議論が行われるようになっている.特に術前の免疫チェックポイント阻害薬の導入により,あらためて切除可能の定義について議論する機会も増えている.
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