巻頭言
高分子と生命現象—生物物理学の一面
大沢 文夫
1
1名古屋大学理学部物理学教室
pp.221
発行日 1959年10月15日
Published Date 1959/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425906091
- 有料閲覧
- 文献概要
最近,生命現象の基本的メカニズムを,物理的あるいは物理化学的な考え方と方法によつて解明していこうとする学問分野として"生物物理学"とか"生物物理化学"とかいう名が人々の口にのぼるようになりました。とろこで,この"生物物現学"とよばれるものは何か,"物理的"考え方とは一体どういう意味か,などとあらたまつて追及されると,返答に困ります。それは結局,この分野が,まだ豊かな内容をもつていないからです。こういう段階では,現在この内容を作りつつある研究の例をみて,何がなされ,何が目的とされるか,を理解しようとするのが近道でしよう。
そこで,私たちに近いところから,自他ともに生物物理学乃至生物物理化学の範疇に入ると思われる例をあげてみます。
Copyright © 1959, THE ICHIRO KANEHARA FOUNDATION. All rights reserved.