讀者の声
病院経営合理化の一面について
山本 猛
1
1山口県立医科大学事務局会計課
pp.71-9001
発行日 1954年12月1日
Published Date 1954/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541200905
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
1.計数管理の確立
従来の我国病院に於ては,官庁会計的な成行管理乃至は盲目管理と云つても過言でない程管理の面に於て一般企業に劣つていたわけである。これは一般企業の如く收益性をモツトーとするのとは異り,病院の性格に基因するのであろうが医療行為が国民経済の上に大きな比重を占むるに至つた今日に於て,病院のみがひとり合理化の列車にとりのこされていることは,当事者のみならず国民全体の悲劇と云わねばならない。
医療行為は個々の医師によつて行われるのであり,個個の独立開業医の集りが病院であると解訳できないわけではないが,(従来はそうであるかの如く見えないでもなかつた)一つの綜合病院と云う独立意志をもつた有機的構成体としてみた場合個々の医者は独立意志によつて診療行為を営むと共に,綜合病院たる有機体の一オルガンとして機能するところに個々の開業医のもち得ざる一種の暖廉の如き価値増加を来たし,近代的綜合病院の良き特異性を生みだすことになる。換言すれば,個々の医師は個人としての光を放つと共に,更に組織体の一分子として機能するときには,光は二乗三乗となるわけである。反面この組織体が充分統制されないとすれば,綜合病院としての機能を失うだけでなく,個人開業医にも劣る逆結果を招くことは言をまたないことである。
Copyright © 1954, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.