巻頭言
基礎と臨床
山村 秀夫
1
1東京大学医学部麻酔科
pp.49
発行日 1957年4月15日
Published Date 1957/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425905934
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大学の医学部は御存知のように基礎と臨床との講座と2つに分れている。これは医学の教育のために必要なことであり,また研究面においても,基礎では医学あるいは臨床の基礎的な部分を,臨床ではその臨床的の部分を行うのが建前であろう。
事実このことは欧米においてはかなり忠実に行なわれており,私の專門である麻酔学をその例にとつても,アメリカの麻酔学会でもカナダの麻酔学会でも麻酔医の発表の大部分は臨床的のものである。ドイツの麻酔学会でも,臨床家が動物実験だとの発表をすると野次がとぶそうである。これは少々大げさかも知れないが,臨床家はあくまで臨床的な仕事をし,その基礎の部分は基礎の人にまかせるか,基礎の人と共同で研究するというのが常識のようである。
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