海外通信
滞米見聞記(2)—Cornell大学に於ける藥理学講座(続)
橋本 虎六
1
1東京大学医学部藥理学教室
pp.287-289
発行日 1955年6月15日
Published Date 1955/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425905838
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次に大学の時間割ですが1年の3学期になりますと生理学と生化学の残りとが大部分を占め,2年の1学期は生理学の残りと藥理学になります。藥理の講義は月曜9時-1時,木曜9時-1時,金曜10時-12時,土曜11-12時で11週間で総てを終了します。講義は普通1時間1日3時間の月及木曜日は後の2時間が実習かデモ,木曜の時は1時間講義,あとの1時間は実験に就いてのConference討議会です。御承知の様に土曜は研究室は休みですが,1時間講義があります。講義はですから一週四時間1日1つのテーマです。デモは講義のおぎないではありません。デモを見せるにはそれ相応の理由があつて完,璧な実験を見せる目的でなく,時には途中で中断したり動物が死んだりしますが,要するに講義をするのに必要なもの,口でしやべつて居ては学生に印象的でないものをデモでやりながら講義をすると云つた方が良いと思います。デモは寧ろ講義に近いものです**。デモの記録,スヽ紙等は捨てませんで大きな4尺×3尺位のボール板に,貼付けて残します。今回のデモがうまく行かなくても,前回の成績をもつて来れば,良いわけです。ですからデモの間学生におとなしく見とれと云う様な風はなく,学生とデモンストレターとの間に,はげしい論議が行われ,知識が植え付けられるわけです。デモの時に藥物の作用を少量の時の作用,大量の時の作用,拮抗作用等等投与しては説明して行きます。
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