海外通信
滞米見聞記(1)—Cornell大学に於ける藥理学講座
橋本 虎六
1
1東京大学医学部藥理学教室
pp.240-242
発行日 1955年4月15日
Published Date 1955/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425905826
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
離日して紐育に到着したのは9月1日。開講したのは9月16日であつたので,それ迄に充分食住の用意する間があつたのは幸いでした。それ迄に教室の一室に机も与えられ,又教室の人等々も紹介されて落着いて講義に出席する事が出来ました。講義は12月2日に最終試験が終了する迄続き,教室員も総動員で全力をあげて集中的に学生の振導に当ると云う有様で,研究の方はその間に少しづつ続ける程度でした。先ず第一に感じた点は学生の指導は極めて親切丁寧で,学生が質問があれば,如何なる時でも教授初め各教室員の所に来,その時は総ての対話も止めて質問に応ずると云うわけで学生優先です。ここの習慣として二人が討論或は対話して居る時に第三者が訪ねて来た場合辛棒強く話の終るのを待ちます。教授と云えどもおとなしく待つて居ます。所が学生の場合は特例で話を中途で止めても学生の質問に応じます。学生に又来る時間がないと云う事を考えて,学生が質問の機会を失うのを恐れて居ます。学生と討論して居る時は,誰れが来ようと全然話を中断しません。
次に講義の分担ですが,教授から始りResearch fellowに至る迄,凡そBulltinにのつて居る人は総て何れかの分野を受持って講義をします。総計11名の講師です。分担は主任教授であるDrn.Cattell及びassociate Prof.Dr.Rikerが凡その腹案を作り,全教室員が集つてデモクラチツクに決定するのだそうです。
Copyright © 1955, THE ICHIRO KANEHARA FOUNDATION. All rights reserved.