巻頭
大き過ぎる日本医学会総会
吉川 春壽
1
1東京大学栄養学
pp.97
発行日 1954年12月15日
Published Date 1954/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425905801
- 有料閲覧
- 文献概要
来年は4年に1度の日本医学会総会が京都で開催されるので,その分科会になつている各学会では早くも演題募集を締切つて総会本部にプログラム編成のため送つたところである。その演題の数はおそらく前回東京で開かれた時よりもまた増えているのではないかと予想される。分科会の数も前回よりもいくつか増して40を越している筈だから,会場の準備だけでもなかなか大変だ。地元の京都の総会本部の苦労は並大抵ではなかろうとお察しする次第である。
このように日本医学会総会が年々大きくなつてゆくことは日本の医学がそれだけ盛になつた事を意味するのだから,大いに喜ばしいことにはちがいないが,このような総会の開催方法が果して適当かどうかというと,どうも疑わしくなる。各分科会即ち日本の主だつた医学関係の学会の総会が一時に一カ所で開かれるわけであるが,これだけ分科会が多数になり,参会者も万を越すというようなことになると,唯無統制に学会がよりあつまつたという感じで,結局開会式と閉会式がおごそかに,目出度く行われる事と特別講演が聞けるという点で総合された総会の面目を保つだけで,学会に出席する者にとつては迷惑な点が少くない。
Copyright © 1954, THE ICHIRO KANEHARA FOUNDATION. All rights reserved.